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JR本州三社の完全民営化と残された課題 |
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本年度中にJR本州三社の完全民営化が実現することとなった。この「JR会社法改正法案」には「付則」で国土交通大臣が、@JR会社間における連携、協力の確保、A路線の維持、駅施設の整備、B同種の事業を経営する中小企者へ配慮の3点についてJR各社が守るべき「指針」を策定し、指導、助言、勧告、命令もできることとなっている。
JR各社が国鉄改革の趣旨を遵守すべき必要性は認識するものの、民間企業の事業に法律で特別な制約を設けることに問題があり、「指針」が過度な経営介入につながらないよう運用を注視していくとともに、これを早期に廃止し、他の鉄道事業者と同様の取り扱いとなるよう引き続き求めていく。同時に、政府(日本鉄道建設公団)が保有するJR西日本株式(63万株、31.5%)についても、早期の全株売却を求めていくこととする。
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(2) |
JR貨物、三島会社の経営支援の課題 |
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堅調な経営を続け完全民営化の道が開けたJR本州三社に対し、JR貨物、三島会社はいずれも株式上場を見送り、将来的な自立経営の見通しが立たない厳しい状況に置かれている。JR連合は貨物経営問題、JR三島会社への経営支援策の実現を今後の政策の重点課題と位置付け取り組みを進めていくこととしているが、その動向を注視しJR連合と連携した取り組みを展開していく。 |
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(3) |
JRバスへの公的補助の実現にむけて |
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JRバス各社に対しては、旧自治省の通達により生活路線の欠損に対する公的補助金の支給が制限されており、この撤廃を目指して運動を進めてきた。地方議会では全国102箇所で意見書が採択され、こうした流れを背景にJR連合自動車連絡会を通じて旧運輸省、自治省への要請行動を展開してきたところである。第151通常国会では、制限の根拠となっている旧自治省通達の廃止に見通しをつけることができた。 |
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(4) |
整備新幹線建設に関わる問題 |
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私たちは国土の均衡ある発展に資するとの観点から、整備新幹線の建設自体に反対するものではないが財源問題や採算性、利用者のニーズを十分に勘案し、総合交通体系の中で意義ある建設を進めるべきだと考える。空港や高速道路の建設も同様に検討されるべき課題である。また、財源問題については、あくまでもJRの負担は「受益の範囲内」として整理されているが、このスキームを遵守させるべく、十分に注視を払っていかなければならない。このほか、併行在来線と貨物ルートの確保等の課題についても所要の措置を講ずるべく求めていく。 |
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環境問題と交通バリアフリー対策 |
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環境問題について地球温暖化防止の観点から、環境に優しい鉄道輸送の推進は非常に重要な課題である。大会では「京都議定書」の発効を求めるアピールを発信するほか、今後もJR連合の政策活動等を通じ、あるべき交通体系の方向を示しその実現にむけた取り組みを進めていく。
また高齢化の進展などに伴い、バリアフリー対策も社会的に重要な課題となっている。「交通バリアフリー法」では、5年以内に1日の乗降客5千人以上の駅にエレベーター、エスカレーターを整備することとされているが、責任組合の立場からも積極的な整備の推進を求めていく。
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