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2008年2月7日



本部は2月4日、第26回中央委員会を開催し、08春闘の要求を決定した。
同委は、「安全を最優先する企業風土」、そして「事故を風化させない」取り組みを通じた「安全文化」の確立を最優先課題とした取り組みを行なうことを基本とし、事故以降、2年9ヶ月が経過する中、不断の努力を積み重ねてきた組合員・家族の負託に応え、働きがいと誇りの持てる企業づくりに向けた取り組みに対し、頑張った者が報われる賃金及び成果配分を求める」とし、昨年に引き続いて『安全・組織・春闘』の連携・強化を求める執行部案を満場一致で可決した。
冒頭、倉橋委員長は、「取り巻く環境は厳しいとしても、昨年以上に仕事に対する誇りや責任感を感じながら、安全文化を作っていく原動力となる経済闘争を展開し、各職場で日々奮闘している組合員の自信と誇りを回復するため、JR連合・JR西日本連合の中核単組としての自覚を持ち、低位におかれているグループ労組の賃金引上げと、JR労働者にふさわしい賃金水準の確保に向けて、精一杯取り組む決意であり、全組合員で中央本部を力強く支えて頂くことを要請する」として、JR連合の統一要求である「純ベア3千円」の獲得に向け、強い決意を表明した。

■JR西労組第26回中央委員会
 中央執行委員長あいさつ

 JR西労組26回中央委員会にご参集いただいた、中央委員、傍聴者のみなさん、ご苦労様です。また、それぞれの職場で、JR西日本の安全と安心を取り戻すべく、懸命に努力いただいている組合員の皆さんに、あらためて感謝申し上げます。そして、大変ご多忙の中、ご臨席賜りましたご来賓、報道関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

 2005年の福知山線脱線事故から丸3年が経過しようとしています。あらためてお亡くなりになられた107名の方々のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、ご被害者そしてご遺族の皆様にお詫びを申し上げます。
JR発足20年、そしてJR西労組発足15年という節目を目前にして、あのような大事故を惹き起こし、今なお無念でなりません。また、先月の24日で、伯備線で尊い仲間の命を失って2年が経過しましたが、事故現場と米子地本主催の三回忌の慰霊式に参加してまいりましたが、二度と悲惨な事故を起こさないという強い誓いを胸に抱いたところです。

 それでは、第26回中央委員会開催にあたり、中央執行委員会を代表して、私たちに課せられた課題、取り組むべき課題について、4点にわたり、申し述べたいと思います。

【安全文化の確立】

 1点目は、言うまでもなく、安全文化の確立に向けた取り組みについてであります。
 私たちは、事故後に策定した「安全性向上計画」の全40項目の完遂に向け、今日まで懸命に取り組んできました。運転職場や工務関係の職場オルグ活動や、各種機関会議、あるいはアンケート調査などを通じて、現場の視点から、検証活動をおこなってまいりました。ハード面をはじめとして一定の成果があったと認識していますが、安全最優先の風土改革をはじめ、事故後3年を経過した今日段階においても、残念ながら道半ばと言わざるをえません。

 ご承知のように、1月17日には、近江舞子駅で除雪作業中のシルバー人材センターから派遣された73歳の作業員の方が雷鳥に触車し、死亡されるという事故が発生しました。事故をなくせないのか、という思いで胸が痛みます。心からご冥福をお祈りします。さらには、翌18日には、広島駅の新幹線高架下で作業中に足場が崩れ、約15メートルの高さから落下し、協力会社作業員4名が重軽傷を負うという事故が発生し、お一人の方は今なお意識不明の重体となっています。これらの事故については、現在、背後要因や今後の対策について労使協議を行っている最中ではありますが、鉄道本体はもちろんのこと、グループ会社あるいは協力会社を含めた安全体制の構築にもはや一刻の猶予もありません。

 現在、これまでの安全性向上に向けた取り組みを総括し、新たな安全計画策定に向けて、鋭意協議を進めています。事故は現場で起こる、という基本認識に立ち返り、私たちの手でしっかりと安全を作り上げる決意をあらためて確認したいと思います。

 また、これらの事故を風化させない取り組みも、労働組合の大切な役割です。いろいろな機会をとらまえて、事故現場に赴き慰霊と安全を誓う行動を続けていきたいと思いますが、先日、献花に訪れた際に感じましたが、最近花の数が減っているように思います。献花が全てではありませんが、命と事故の重みを再認識できる場所であることをあえて申し上げておきたいと思います。

 そして、委員長の思いとして始めた、ユニオンカレッジの場における、福知山線脱線事故のご遺族担当者やお怪我をされた方を担当した組合員の思い、ご遺族・ご被害者の思いを伝える取り組みも、継続していきますが、今年は、事故直後現場に駆けつけたものの、救援作業に携われず見守るだけで悔しい思いを抱いた組合員などの声も、伝えていければと思っています。
 いずれにしましても、この春に入社する1,000人を含め、事故を知らない社員が約3,000人に達します。会社が行うのはもちろんのこと、労働組合としても事故の風化を防ぐ、あるいは命の重みを伝える取り組みを継続していきたいと思います。


【2008春季生活闘争】

 2点目は、2008年春季生活闘争についてです。
 大企業を中心に、多くの企業が好調な輸出に支えられ、史上最高益を更新するなど、わが国の経済は好調に推移してきましたが、原油高や、サブプライムローン問題に端を発するアメリカの景気減速などで、「いざなぎ景気」超えの好景気の先行きに不透明感が増していますが、少なくとも、内需拡大の柱である個人消費の拡大が当面の経済成長の鍵を握っていることに変わりはなく、労働分配を拡大し、企業収益の成果を私たち働く者に還元し、家計を改善させることが極めて重要になっています。
 JR西日本の決算状況をみますと、先日発表された今年度の第3四半期連結決算は、好調な新幹線に支えられ、営業収益は9,557億円と4期連続の増収、四半期純利益も3期ぶりの増益となる521億円となっています。通期見通しも、中間決算時に、営業収益、経常利益とも上方修正されており、安全性向上に向けた取り組みを進めつつ、経営的には堅調に推移していると言えます。

 2007年春闘は、世間では賃上げの追い風が吹いている中で、福知山線脱線事故の三回忌を目前にして厳しい立場、環境にあったわけですが、組合員としての自信と誇りを取り戻すための闘いを行いました。年間臨給5.5ヶ月、そして結果的にはベアという文言は使いませんでしたが、賃金制度改正の移行措置で400円という実質的なベアを勝ち取ることができました。

 2008年春闘も福知山線脱線事故という重い十字架を背負っている状況に変わりはありませんが、昨年以上に仕事に対する誇りや責任感をあらためて感じながら、安全文化を作っていく原動力となるような闘いを展開したいと考えています。昨年以上の経済闘争を行い、組合員とそのご家族の皆さんの負託に応えていく所存です。

 2月1日には、第20回JR連合中央委員会が開催され、純べア3,000円の統一要求、契約社員をはじめとする非正規社員の待遇改善、割増率の改善をはじめとする春闘方針を確認したところですが、JR西労組は、JR連合そして西日本連合48単組の中核単組としての自覚と、労働分配率低下に歯止めをかけるという社会的責任を果たす決意をもって、今春闘を闘いぬく所存であります。

 後ほど、当面する活動方針案の中で具体的に提起しますが、「純ベア3,000円」「年間臨給5.7ヶ月」を求めるほか、契約社員、シニア社員の待遇改善や安全や技術・技能の継承に資する諸手当の改善、割増率の改善なども求めていきたいと考えています。契約社員については、社員化の道など多くの成果を勝ち取ってきましたが、技術・技能の伝承という観点からも、今春闘ではシニア社員の待遇改善に力を注ぎたいと思っています。

 2月16日には、京の風物詩「第11回京都駅ビル大階段駈け上がり大会」が開催されます。この駈け上がり大会は、組合員の皆さんの協力なしに成功はありえません。2008春闘に勢いをつけるためにも、駈け上がり大会の成功に向け皆さんの協力を要請します。


【組織の強化、民主化の取り組み】

 3点目は、組織の強化・拡大と民主化闘争勝利に向けた取り組みについてであります。
 1999年にJR連合が「JRに革マルはいらない!」と「民主化闘争」を宣言して、10年目を迎えます。浦和電車区強要事件の裁判における被告7名の全員有罪判決、そしてこれにもとづいた、社員籍のある6名の懲戒解雇、そしてJR東日本内における反本部派による「JR労働組合」の結成など、昨年1年間は、かつてない情勢変化がありました。

 JR連合は、JR総連・東労組が取り組む「加害者救済」ではなく、集団的糾弾行為により、退職に追い込まれた元浦和電車区の吉田さん、そして運転士を下ろされた佐藤さん、このお二人の「被害者を救済する」という明確な対立軸を打ち出し、現在署名活動に取り組んでいます。

 今年は、民主化のうねりが大きくなって、大きく前進する年にしなければなりません。民主化完遂のためにも、89.67%である組織率の90%早期達成に向けて、引き続き組織拡大で、しっかりと民主化闘争を下支えしていただくことを要請します。

 また、組織強化という観点では、JR西労組運動の継承、次世代への継承の取り組みを待ったなしの状況です。昨年の第19回定期中央本部大会で30歳代の若手執行委員3名を選出いただきました。団体交渉にも積極的に参加し、実践経験を積んでもらっています。引き続き、次世代のリーダーシップ育成に取り組み、各級機関に広げていきたいと考えています。


【来たるべき解散総選挙】

 最後に、来たるべき衆議院の解散総選挙についてです。
 今の日本の未来に夢はあるでしょうか。年金、医療、雇用、治安など、将来不安ばかりが頭をよぎるのではないでしょうか。今、政治はこれらの道筋、将来像を示すことはありません。今一度、国民本位の政治を取り戻し、孫の代まで安心して託すことのできる日本にしなければなりません。

 昨年行われた参議院議員選挙では、民主党が大躍進し、政権交代への大きな足がかりを作ることができました。カードは私たち有権者の手の中にあるのです。

 昨年12月には、組織内候補である、三日月大造氏の選挙区である、滋賀県第3区13万世帯への全戸ビラ配布行動を作り上げていただきました。大阪府知事選挙は非常に残念な結果に終わりましたが、来るべき解散総選挙必勝に向けて、三日月氏の三選は言うまでもなく、私たちが推薦する候補者全員の必勝に向けて、JR西労組の組織力と行動力をいかんなく発揮していただくことを要請します。


 以上、本中央委員会開催にあたり、4点にわたる提起をしました。

 冒頭申し上げたとおり、安全文化の確立が最優先課題であることは言うまでもありませんが、下ばかり向いていては、これらを成し遂げることは難しいと考えています。安全は、仕事に対する誇りと責任感があってはじめて作ることができるのです。しっかりと前を向き、諸課題に逃げることなく真正面から取り組むことを全組合員で確認するとともに、中央委員各位の真摯で建設的な議論を展開していただくことをご期待申し上げ、中央執行委員会を代表してのあいさつといたします。


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